著者 ヤニス・バルファキス
関美和 訳
ダイアモンド社
どうもタケチです。
今日は紹介する本は
父が娘に語る経済の話
著者の経歴
作家
「経済の勉強をしたいけど、どの本も難しそうだ」
「資本主義の歴史を知りたい」
「機械の自動化が進むとどうなるのか知りたい」
という人にオススメです。
本書はあまり専門用語を使っていなくて、
物語形式でとても読みやすくて分かりやすい内容となっています。
経済の話ってなんか難しそうだし、
「専門家に任せればいいんじゃね」って思っていませんか?
ちなみに経済学で本物の専門家は存在しません!!
大体のことは、後知恵で説明したフリをしているだけです。
経済を学者に任せるのは、
中世の人が自分の命運を神学者や教会や異端審問官に任せていたのと同じだ。
つまり、最悪のやり方なのだ。
経済学は僕たちの生活にも大きく影響しているから、
覚えといて損はない分野だと思っています。
それでは、書評をしていきましょう♪
なぜ、アボリジニがイギリスを侵略しなかったのか?
歴史の授業を受けているときにこういう事は思わなかっただろうか。
なぜオーストラリアやアメリカ大陸を見つけ、侵略した国が、ヨーロッパの国だけなのか?
どこで差が生まれたのか?
それは人類が「農耕」を発明したことから始まります。
農耕が生まれた背景には、食糧問題がありました。。
食料がなければ、みんな飢え死にしてしまう。
周囲の獲物を狩りつくして、人の数も増えてくると、食べ物が足りなくなった。
生きていくためには、土地を耕すしかなかったのだ。
しかし、逆に自然に恵まれて、食糧も豊富であれば土地を耕す必要がない。
明日の食べ物はそこらへんでとれるのだから。
農耕を行うことによって食べきれない程の食べ物が出てきた。
これが「余剰」です。
でも、狩りでとってきた獲物も食べきれなければ余剰になるじゃん。
魚や動物の肉は早く食べないと傷んでしまうからね
余剰とは言えないんだ。
余剰が格差を生んだ
余剰してある小麦があれば、仮に翌年の食べ物が収穫できなくても、
余剰分の食料を食べればいい。
全てはここから始まった。
余剰のおかげで文字・債務・通貨・国家・テクノロジーが生まれた。
文字は余剰の食料を倉庫でまとめるため量が個々でわかる必要があったから生まれ、
国家は大勢の官僚や軍隊を養っていくために、大量の食料の余剰を必要とした。
倉庫を守っている人がいなければ、隣の村から襲撃があるかもしれないからだ。
農耕を必要としなかったら、敵からに逃げても大丈夫だけど、
畑は持っていけないから、作るとしても一からになるのか!!
食料が豊富であれば、移動しても生活を変わらないからね。
余剰格差
最初の疑問の答えはと言うと、余剰があったかなかったかの違いだ。
余剰があったことによって、国を作り、軍隊や武器を作られた。
余剰がないところは、昔ながらの変える必要のない生活をしていたから
軍隊や武器から自分たちを守ることはできなかった。
人助けで金が発生したら
商品とは、いくらかの金額で「売る」ものだ。
それが商品であるなら、
お笑いにもダイビングにも市場価格がつく。
市場価値とは「交換価値」を反映したものだ。
つまり、市場で何かを交換するときの価値を示しているのが市場価格だ。
だが、売り物でない場合、
お笑いにもダイビングにも、全く別の種類の価値がある。
「経験価値」と呼んでもいい。
海に飛び込み、夕日を眺め、笑いあう。
どれも経験として大きな価値がある。
父が娘に語る経済の話
「交換価値」と「経験価値」は対極に位置していることがわかる。
多くの人は値段のつかないものや、
売り物ではないものは価値がないと思いこんでいる。
献血市場での矛盾
人が無償で献血している理由は、誰かの役に立ちたいという善意から行われる行為だ。
別の意味で利用する人もいるかもしれないけど。
では、献血してくれる人を増やすために、お金を少額支払うとどのようになるのか?
結果は献血が有償の国では、無償の国よりもはるかに血液が集まりにくかった。
お金が発生することによって、善意で行ってきた献血者はあまり来なくなる。
理由としては冷めるのだろう。
今までは善意で行っていたのに、値段が発生したことによって商品にされたからだ。
その価格では、「僕の血液はあげないよ」ってな感じで
値段とモノを天秤にかけ始める。
他の例えを出すと、友達に引越しの手伝いをお願いし、
友達は無償で手伝うことを約束してくれた。
だけど、それも悪いと思い、お礼にプレゼントを渡すことにした。
プレゼントのセンスはともかく、渡された方はうれしいし、
変なプレゼントでも悪い気はしない…と思う(笑)
次に渡すときにそのプレゼントの値段もついでに教えてあげると
相手はうれしいだろうか?
労力に合わないものだったら?
バカにされた気にならないか?
確実にいい雰囲気が音を出して崩れるのがわかると思う(笑)
だって、値段を言ったことによって、
友達は引っ越しの手伝いの労力とプレゼントの値段が天秤にはかられる。
例え、プレゼントなしでも手伝ってあげたはずなのにだ。
自動化のするほど、苦しくなる矛盾
機械が人間のために面倒な仕事を片付けてくれるようになると、
すべての退屈な仕事が機械化される日を人間は夢見るようになる。
仕事や雑用のない社会で快適に暮らしたいと思うようになる。
父が娘に語る経済の話
一人暮らしをしている人にとっては、
家事の機械化はとてつもなく便利に思うに違いない。
洗濯板を使わずにボタン一つで洗濯をしてくれるし、
ほうきで掃除しなくても、ボタン一つでルンバが床をきれいにしてくれる。
いつの時代の話をしてるんだ。
これは例えだから(笑)
では仕事ではどうだろう。
人がやらなければ、いけなかったことがボタン一つとは言わないにしても
時間を大幅に短縮することができる。
時間が空いたら別の仕事に取り掛かることができる。
だけど、次の仕事も機械によって短縮できたら…
多分いつか気が付く、「おれ、いらなくね」って。
何そのホラーみたいな感じ!!
フランケンシュタイン症候群
どんな向上にもオフィスにも店舗にも機械が入り込み、
多くの製品を生み出し、我々の人生を変えてきた。
だが、貧困や飢えや格差や雑用は無くなっていないし、
将来への不安もなくなっていない。
父が娘に語る経済の話
僕たちの視点を変えてみたら、どうも機械は僕たちの身代わりとなって、
奴隷のように働いているわけではないのかもしれない。
むしろ機械を維持するために必死に働いているように見える。
僕たちはテクノロジーに縛り付けられ、
テクノロジーに追いつかなければとますます焦っている。
この社会を維持するのは常に成長なのだから。
まとめ
この世界は、まず食糧の余剰から始まり市場社会が生まれた。
余剰が多い方が有利になり、格差が生まれた。
そして、すべてに近いものに価格が付くようになった。
そこで人助けでお金が発生したらどうなるか。
結果としては、人助けをしにくくなる。
善意に値段が付き、「その程度の金額では動かないよ」ということになる。
お金が人々の絆を壊していく。
しかし、壊すのは絆だけではない。
お金で機械を買い、便利になるのと同時に
僕たちの仕事も便利になり、時間が余るようになる。
製造工程から徐々に人間の労働力は締め出されていく。
本書の目次
プロローグ
経済学の解説書とは正反対の経済本
第1章
なぜ、こんなに「格差」があるのか?
~答えは1万年以上前にさかのぼる
第2章
市場社会の誕生
~いくらで売れるか、それがすべて
第3章
「利益」と「借金」のウェディングマーチ
~すべての富が借金から生まれる世界
第4章
「金融」の黒魔術
~こうしてお金は生まれては消える
第5章
世にも奇妙な「労働力」と「マネー」の世界
~悪魔が潜むふたつの市場
第6章
恐るべき「機械」の呪い
~自動化するほど苦しくなる矛盾
第7章
誰にも管理されない「新しいお金」
~収容所のタバコとビットコインのファンタジー
第8章
人は地球の「ウイルス」か?
~宿主を破壊委する市場のシステム
エピローグ
進む方向を見つける「思考実験」
他に面白かったところ
- 古代ギリシャはオークションをしない
- 経済はすべての人に頼っている
- 失業否定派と狩人のジレンマ
- 通貨になるものの3つの条件
- 「終わりの予感」が経済を解放させる
- ダメと知りながら競争をやめられない
- 満足な豚より不満なソクラテスになれ
など、紹介できなかったことがまだまだあります
続きはぜひ本書でお読みください。
最後まで読んでいただき、ありがとうございました。
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