著者 フィリップ・ホセ・ファーマー
岡部宏之(訳)
ハヤカワ文庫
“ベーシックインカムの負の側面“
あらすじ~
主人公は英国の探検家(リチャード・F・バートン)、ある日謎の集団に襲われて1890年没
死んだかっと思っていたが、意識が戻り、最初に目に入ったのは青い空であった
次に、広大な草原があり、その草原に紹介を引くように幅一マイル(1.6キロ)はある
川が永遠と地平線のほうまで伸びている
そして、この河の両岸には、ネアンデルタール人から未来人(21世紀までの人類)までの これまで生きてきた人類が復活していたのだ
かなりぶっ飛んだ設定ですね
そうだね、この小説の面白いところは、年代を関係なく人類が復活しているから有名人だったら生前にどんな所業をしてきたのか未来人にはわかっているってところだ
そして、誰がこのリバーワールドを創り上げたのか? その目的は? ここの人類は21世紀までで止まっているのか? と様々な疑問を抱えて旅に出るんだ
話の続きが知りたくなってきましたね
それはそうだけど、あとは小説を読んでほしいな
この本自体は、絶版本になっているから見つけるのは難しいけど古本屋に行けばたまに見かけるよ
そういえば、この本で僕が学んだことについて話すよ
それは、ベーシックインカムの世界だ
ベーシックインカム?
~ ベーシックインカム
簡単に言うと、最低限の所得保障の一種で政府がすべての国民に対して
最低限の生活が送れるように現金を支給する政策なんだ
言われてみれば、どっかで聞いたことがあるような…
希望の党がマニフェストで掲げたことで一時期TVで議論されていたからそれで知った人も多いんじゃないかな
この書籍のベーシックインカム的要素
・リバーワールドのすべての住人は手首に細い輪がはまっており、その先には円筒の箱のよ うなものがつながれている、それは特定の場所にいけば、中身に食べ物+おまけ(タバコとかの日用品)が補充される不思議なものだった
また、それは人によって入っている中身がバラバラに補充される
・猛獣、病気がない安全な世界
すごい!! 働かずして、のんびりと暮らせる天国みたいじゃないですか
それに、おまけのものでほかの人と物々交換できるし
そうだね、聞こえはいい世界だね
何か問題でもあるんですか?
生まれ変わった人は、全員が良心のあるものではないからね
すぐに問題が発生するんだ
問題ですか
民族紛争や地域紛争が起こりはまる。また、食料とおまけを巡って、人を奴隷にし始める集団が現れるんだ
必要最低限の食料を与えつつ、兵士に使うにさせるとかね
たしかに現実でも起こる可能性がありそうですね
そうだね、仮にその争いごとから逃れたとしても、いったい何人の人が一人で生きていけるんだろうね
どういう意味ですか?
人はそんなに強い生き物ではないんだ。
人は誰かに頼ったり、指示を与えられたいと思う人は多いはずなんだ
だから、自分の箱から出てきたものを渡す条件で集団に入れてもらったりとするんじゃないかな
それで、集団に属することで安心と言い訳と悪口が手に入るんだ
安心はわかりますけど、言い訳と悪口ですか?
集団に入るまでは一人だったから全ての行動の選択は自分で決めなければならなかった
どんな悪い結末でも自分が決めたことだから責める相手がいない
しかし、集団に入ったことで行動の選択はその集団のトップか、多数決で決まる
悪い選択だったら責める相手がいるし、いいと思っていた選択がダメになっても場合によって言い訳はできるしね
それがこの世界の負の側面ですか
ベーシックインカムもこういう世界になりかねない
あくまで可能性の問題だけどのね
でも、このことが分かっているかいないかでは違いがあるから小説だからってバカにはできないよ
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