著者 ナシーム・ニコラス・タレブ
望月 衛 訳
ダイヤモンド社
どうもタケチです。
今日は紹介する本は
まぐれ 投資家はなぜ、運を実力と勘違いするのか
著者の経歴
トレーダー
趣味は哲学、数学、ファイナンス
人はどうして、投資で儲かると自分の実力だと思い込み、
「BOOK]データベース
損をすると運が悪かったと思うのか?
トレーダーとしての20年以上にわたる経験と、
数学、行動経済学、脳科学、古典文学、哲学等への深い知識と鋭い洞察をもとに、
金融市場や日常生活において偶然や運が果たしている隠れた役割と、
人間の思考と感情との知られざる関係を鮮やかに描き出す最高の知的読み物。
アマゾンレビュー
仕事での成功には運の占めるウェイトが大きい。
とくに経営者や起業家、投資家たちには。
この本から学んだ最大の収穫だ。
今までなんとなくモヤモヤしていたものがはっきりわかったような気がする。
タイトルの邦訳「まぐれ」はその一点を集約していて秀逸と感じた。
とはいえ運だけの成功は長続きしない。
分不相応の幸運に気づかないバカはいつか必ず失敗するわけで、
著者はそうした事例をいくつもあげて回避する方策を説く。
難解な箇所は多々あるが、自分に役立つ点を参考にする読み方でも、
たくさんの教訓を得られると思う。投資家と経営者に強くおすすめしたい本だ。
楽天レビュー
確率統計の側面から金融市場を語っている本です。
投資について、確率統計が持ち出されるとき、
ランダムな事象のほとんどの部分が一定の範囲に収まる、
その内側を利用する話がほとんどです。
分散投資をして、ボラティリティを小さくする話とか。
この本でタレフが取り上げているのは、一定範囲の外のまれな事象についてです。
このような事象を「黒い白鳥(black swan)」と呼ぶのですが、
僕らは、この黒い白鳥を無視して物を考えがちです。
でも、黒い白鳥はまれに(でもいつかきっと)やってきて、
ものごとに決定的な影響を与えるのです。
起こる可能性が高い事柄に思考を集中させる道具ではなく、
まれにしか起こらないけれども影響の大きい事象に思いを寄せる、
そんな思考法の転換に気づかせてくれた貴重な読書経験になりました。
たぶん、読者のほとんどが投資に興味がある人なのだろうけど、
投資の話はあくまで説明のための事例に過ぎなくて、
もっと一般的な日々の暮らし、
人生に影響を与える種類の本です。
その意味で、「投資家はなぜ、運を実力と勘違いするのか」という
副題が読者を限定してしまっていてもったいない気がします。
本書は「偶然」の重要性を説いている。
テレビやネットを開けば、成功者が多く登場する。
「どうしてあの人は成功したのだろう」
「あの人の行動を真似すれば成功への近道だ」
しかし、待ってほしい!
それは、目につく人が多いからではないのか?
人は一番成績が良かった結果が一番に目につくものだ。
どうしてだろうか?
負け犬はノコノコ出てきたりはしないから
目に見えないということだ。
成功した人のエピソードが多くまとめられている本は、世の中には数多くある。
ここで、忘れていけないのは、成功した人と同じくらい?ではなくそれ以上に
失敗した人は多いことを忘れてはいけない。
著者の本は、すごく勉強になる。
この人の考え方で僕は生活している。
まさに、崇拝している知の巨人だ。
しかし、勉強になる分
文章は難解なものが多くあるから
読むときは長期戦になることを覚悟する方がいい。
それでは、書評をしていきましょう♪
要点
・成功者とは、お金持ちになったことではない。
この先も生存できて初めて成功者と言える。
・リスクを取れば、お金持ちの早道だ。
しかし、早死にのリスクは高い
・現実世界のロシアンルーレットは、充填数も実弾の数も不明
まぐれとチャンス
はじめに、言っておいた方がいいだろう。
あなたの周りにいるお金持ちは、
大体はまぐれでお金持ちになっているだろう。
しかし、何もその人たちはただ突っ立っていただけではない、
準備を怠らなかった。
だからチャンスが生まれるのだ。
一生懸命に仕事をして、時間や納品の約束を守り、
営業であれば、清潔な服装を心掛ける。
そういうことをやっていないと成功はできないだろう。
しかし、やっていたからと言って成功できるとは限らない。
要は、それ自体が成功の原因ではない。
能力があれば成功への道の助けにはなるが、たまたまの要素は多いということだ。
世界一のお金持ちは幸せではない?
リディアの王クロイソスは、当時世界一のお金持ちだと考えられていた。
ここでは、有り余る富を手にした人と思ってくれればいい。
その王のもとに、ソロンがやってきた。
ソロンとは、政治家であり、威厳があるが控えめ、謙虚で質素で懸命で知性があり
さらに、勇気があるとして有名な男だ。
そのソロンに、王は富の輝きを見せてやった。
しかし、ソロンは驚きもしなかった。
王は不満に思い、
自分を認めさせようと躍起になった。
そこで王は、自分より幸せな人間を知っているかと尋ねた
ソロンは、気高く生きた後、戦って死んだ男を挙げた。
これは何が言いたいんだ?
ソロンが言いたかったことは、現状が続くとは限らないと教えたかったのだ。
「全てが満ち足りていた人に不幸が訪れた例はたくさんあります。
まぐれ ナシーム・ニコラス・タレブ
今、裕福であるからと言って思い上がるべきではありませんし、
今は裕福でも将来そうでなくなるかもしれないときに、
人の裕福さを褒めたたえるべきでもありません。
将来のことはわかりません。
本当に様々なことが起こりえるのです。」
つまり成功者とは、死ぬまで成功できて初めて成功者へと言えるのだ。
リスクを取らなければ、長生きできる。
著者のナシーム・タレブはトレーダーで生活していた時期がある。
その時に体験したことが本書に多く書かれている。
そこで、ネロという人の話がある。
ネロは周りのトレーダーよりもお金持ちではない。
お金持ちでない理由はちゃんとある。
ひとつに、リスクを極力背負わない。
周りのトレーダーたちは、上場相場に頼って投資していく。
そして、みんなが押し寄せたおかげで株価は上がり、
ネロ以外のトレーダーたちはお金持ちになっていく。
しかし、ハイリターンの裏には必ずハイリスクが潜んでいる
突然の暴落でネロ以外のトレーダーたちの株価は吹き飛んだ。
つまり、ネロはパニックや急な暴落で吹き飛ぶ可能性を避け、
逆にそんな事態が起きた時に賭けたいと考えている。
そして、もう一つは
リスクを意識し、規律を保ちながら一生懸命働けば、
気持ちよく人生を送れる可能性がとても高いと信じていることだ。
楽して、儲かっているのは生活できるのは偶然の産物で
偶然の裏には、膨大なリスクを背負っている。
要は、運の要素が大きいということだ。
運だけがいい人は、時間がたてばたつほど、平凡な運の悪い人になる可能性も高くなる。
長くなっちゃったから、後半はまた今度としよう。
後半へ続く
本書の目次
はじめに 知識を真に受けてはいけない
各章の要約
プロローグ 雲に浮かんだモスク
第Ⅰ部 ソロンの戒め 歪み、非対称性、帰納法
第1章 そんなに金持ちなら頭が悪いのはどうしてだ?
雷の一撃
一時的な商機
仕事の流儀
プロ意識なし
誰にだって秘密はある
ハイイールド漬トレーダーのジョン
成金の田舎者
真っ赤に燃える夏
セロトニンとランダム性
あなたのかかりいつけの歯医者はお金持ちだ、ものすごくお金持ちだ
第2章 奇妙な会計方法
違った歴史
ロシアン・ルーレット
あり得る世界
もっとたちの悪いルーレット
同僚とは仲良く
アエロフロートで拾い物
ソロンがリジンのナイトクラブにやってくる
ジョージ・ウィルはソロンじゃない 直感に反する真理について
討論で恥をかく
違った類の地震
ことわざを一つ
リスク・マネジャー
ついでに起きること
第3章 歴史を数学的に考える
ヨーロッパの遊び人の数学
道具について
モンテカルロの数学
屋根裏部屋での楽しみ
歴史を作る
屋根裏部屋でズルグルーブが増えていく
歴史を軽んじる
ストーブは熱い
過去の歴史を予測する能力
私にとってのソロン
パームパイロットで蒸留された考え
緊急ニュース
シラー再び
長老の支配
ピロストラトス、モンテカルロに現わる ノイズと情報の違い
第4章 ナンセンス、理系のインテリ
ランダム性と動詞
逆チューリング・テスト
エセ思想家の始祖
モンテカルロの詩
第5章 不適者生存の法則 進化は偶然に騙されるか?
新興市場の魔術師カルロス
いい時代
買い下がり
砂浜に描いた線
ハイイールド漬トレーダーのジョン
コンピュータと方程式を操るクウォンツ
連中に共通する特徴
市場に救う、たまたまなのにその気になる連中の特徴を概観する
素朴な進化論
進化は偶然に騙されるか?
第6章 歪みと非対称性
中央値は語らない
牛熊動物学
傲慢な二九の若造
稀な事象
対称性と科学
ほとんどみんなが並み以上
稀な事象に関する誤解
究極の引っ掛け
統計学者が稀な事象に気づかないのはなぜか?
いたずらっ子が球を入れ替える
第7章 ベーコンからヒュームへ
シグナス・アトラトゥス
ニーダーホッファー
カール卿の広報担当
場所、場所
ポパーの答え
開かれた社会
誰にだって欠点はある
帰納と記憶
パスカルの賭け
ありがとうソロン
第Ⅱ部 タイプの前に座ったサル 生存バイアスとその他のバイアス
第8章 あるいは隣の億万長者でいっぱいの世界
失敗して傷つくのをやめるには
ちょっと幸せ
仕事のしすぎ
お前は負け犬
二重の生存バイアス
また専門家
勝って表舞台へ
上昇相場のたまもの
カリスマのお言葉
第9章 卵を焼くより売り買いする方が簡単
数字にだまされて
プラシーボ投資家
能力なんて誰もいらない
凡人へ逆戻り
エルゴード性
人生は偶然の出会いでいっぱい
不思議な怪文章
テニスの試合に邪魔が入る
生き残りの逆
誕生日のパラドックス
世間は狭いねぇ!
データ・マイニング、統計、いかさま
これまで読んだ中で最高の一冊!
バックテスト
もっと不穏な拡張
業績発表の季節 結果にだまされて
相対的な運
ガンの治療法
ピアソン教授、(文字どおり)モンテカルロへ行く たまたまはたまたまに見えない!
結論はない
第10章 敗者総取りの法則 日常の非線形性
砂山のなだれ現象
ランダム性の導入
タイプを学ぶ
現実の世界の裏表の数学
ネットワークの科学
私たちの脳
ビュリダンのロバ ランダム性のよい面
降れば土砂降り
第11章 偶然と脳 確立をわかるのに不自由
パリ? それともバハマ?
構造上の問題
哲学をやっている役人には気をつけろ
充足化
単なる不完全ではなく欠陥
カーネマンとトヴァスキー
ここぞという時にナポレオンはどこへ行った?
「どれだけ設けるかが大事」、その他のヒューリスティック
フォーチュン・クッキー博士
二重思考
初めてのデートで結婚しないのはなぜか
私たちが本来生きていた場所
すばやく、つましく
神経生物学者も参戦
法廷のカフカ
不条理な世界
確率を見るときのバイアル、その例
ぼくらのオプションはわからない
確率とマスコミ(さらにジャーナリストについて)
お昼ごはんどきのCNBC
お前はすでに死んでいる
ブルンバーグの開設
ろ過のやり方
ぼくらに信頼水準はわからない
告白
第Ⅲ部 耳には蝋を 偶然という病とともに生きる
ギャンブラーのゲン担ぎとはこの中のハト
タクシー・ドライバーの英語と因果
スキナーのハトの実験
ピロストラトス再び
第13章 カルネアデス、ローマへきたる 確率論と懐疑主義
カルネアデス、ローマへきたる
懐疑主義が生んだ確率論
ノルポワ侯爵の意見
信念の経路依存性
考える代わりに計算する
墓場から墓場へ
第14章 バッカスがアントニウスを見捨てる
ジャッキー・Oの葬式
偶然と人としての品格
エピローグ ソロンの言うとおり
ロンドンの渋滞には気をつけろ
あとがき シャワーを浴びながら振り返る
振り返る、その一 能力は逆転する
振り返る、その二 偶然のメリットをもういくつか
不確実性と幸せ
メッセージにスクランブルをかける
振り返る、その三 一本足で立つ
訳者あとがき
図書館へ行く 参考文献
図書館へ行く 付注
索引
など、紹介できなかったことがまだまだあります
続きはぜひ本書でお読みください。
最後まで読んでいただき、ありがとうございました。
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