【書評・要約】いつも「時間がない」あなたに(欠乏の行動経済学)

書籍

著者 センディル・ムッライナタン
    エルダー・シャフィール
   大田直子(訳)

早川書房

タケチ
タケチ

どうもタケチです。

今回紹介する本は、

いつも「時間がない」あなたに

著者の経歴
センディル・ムッライナタン
・ハーバード大学経済学教授
・専門は行動経済学・発達経済学

エルダー・シャフィール
・プリンストン大学ウィリアム・スチュアート・トッド心理学教授
・専門は認知科学・行動経済学

仲間A Lv11
仲間A Lv11

どうして失敗を繰り返すんだ。

いつになってもお金が貯まらないのはどうしてだろう

もう少しゆとりのある生活がしたい

と思っている人に本書はいいヒントを教えてくれます。

仕事や勉強のできる人、お金を普通に貯められる人

自分とでは何が違うのか?

答えの一つは欠乏です。

欠乏とは何か?

人は与えられた時間やモノが少ないほど、

そのことだけに集中していて、

集中しすぎるあまり、

他のことはほったらかしにするものです。

仮に対応したとしても、中途半端な対応で

また、同じような仕事がブーメランのように戻ってくる。

この行き当たりばったりのせいで時間がないと感じてしまう。

本書のポイント

  • 欠乏による代償とボーナス
  • 欠乏をジャグリングすると客観性がなくなる
  • 欠乏への対策

「欠乏による代償とボーナス」

例えば、仕事での今日の作業スケジュールはスカスカで、

どんなことにも時間を費やせるとしよう、

今行っているプロジェクトをゆっくりこなしてもいい、

時間を意識することはない

次に、スケジュールがびっしりの人が仮に近くにいるとしよう。

この人は、次から次に忙しそうに仕事し、

時間の欠乏を生み、

彼の思考や注意力を占拠している

二人の時間は同じなのに、

忙しい人には時間の欠乏感という感情が芽生えた 。

しかし、

欠乏感は覚えるのは、別に悪いだけではない。

ちゃんとしたボーナスを与えてくれるからだ

それは何か?

締め切りが近い仕事があり、君は時間に追われているとしよう、

その時に友人や恋人からの誘いのメールだ 。

普段なら魅力的に感じるはずだが、

今はそれどころではない、

目の前にあるこの作業を片付けるほうが先だとなるだろう。

それはなぜかというと、

欠乏が思考と注意力を占拠しているため

目の前のことに集中し

かまっていられなくなる。

仲間A Lv11
仲間A Lv11

怒られる恐怖感もあるかもしれないね

タケチ
タケチ

そういう事もあるかな(笑)

トンネルの中からでは、外の状況を読めない

欠乏が集中力を生む代わりに

トンネリングを引き起こす

仲間A Lv11
仲間A Lv11

なんだ。トンネリングって?

タケチ
タケチ

自分がトンネルの中に入っている状態だと思えばいいよ。

当然トンネルの中からは外の状況がよくわからない。

あなたが今、友達とSNSでやり取りをしているとしよう。

その状況でテレビを並行してみていても、集中している方にしか

意識が言っていない。

つまり、SNSでやり取りをしているときにはテレビの内容は入ってきていない。

一つのことに集中していることは、ほかのことをほったらかすということだ。

だけど、その状態であれもこれも手を出すとどうなるか。

欠乏の深みにはまっていってしまう。

「欠乏をジャグリングすると客観性がなくなる」

欠乏の代償で他はほったらかしになるといったが、

重要なことは二つ以上になったらどうなるだろう。

今日にでもやろうとしていたことが先送りになる

まさにジャグリング状態だ。

作業自体が簡単で、

時間を作ればすぐに終わらせられる単純な作業だけでは残念ながらないはずだ。

それが、お金や仕事、借金に関してだったら手に負えない

君がもし、

この事柄をジャグリングしていると考えるとどうだろう。

今まさに落ちてくるボールに気を取られて、

その次に落ちてくるボールに目を向けない 。

やっと視界に入ったボールに不意打ちを食らいながら、

ジャグリングを続ける。

人はトンネリングを起こすと、問題をその場しのぎで「解決」する。

仲間A Lv11
仲間A Lv11

その場しのぎだから、最悪また問題が戻ってくるかも…

タケチ
タケチ

貴重だった時間が無駄になってしまうんだ。

第3者からは、

ボールが落ちてくる瞬間をだいぶ前から見えているかもしれない

しかし、やっている本人からは目の前に迫って初めて現実になる。

また、行き当たりばったりな状態でジャグリングをすることによって、

問題をさらに複雑にしてしまい、やりくりはさらに難しものになるのだ

まさにマルチタスクの状態になっているのだ

仲間A
仲間A

マルチタスクって?

タケチ
タケチ

ここで面白い研究があるんだ

車で運転中に携帯電話で話すのは、法定基準以上のアルコール濃度で運転するより、ひどい事態を招きかねないことが明らかになっているんだ

欠乏への対策

欠乏を感じないようにするには、

現状を縛り付けているヒモを緩めるしかない。

余裕があるところでは欠乏は生まれないんだ。

なるべくヒモがきつくなる前に対処する必要がある。

その理由としては、先ほどまでに説明した通り

重要な問題をほったらかすか、

ジャグリングする可能性が高まるからだ。

対策としては2つ紹介しよう。

1つ目は予定を詰め込みすぎない。

2つ目はやるべきことを知らせてくれるように

スマホでアラームをつけることだ。

仲間A Lv11
仲間A Lv11

それだけ?

タケチ
タケチ

当たり前のように聞こえるけど、重要なことなんだ。

やる気だけでは回避をするのは不可能

新しいことをするにもミスはつきものだ。

挫折する前に計画に余裕を持たすことが必要になってくる。

それはなぜか?

あなたは一日の仕事を終えて家に帰る。

今月の家賃や様々な請求書を払うため、どこからお金を持ってこようかと考えると

やりたいことが手につかず、眠れなくもなる。

そして、

お金がないのは今の会社の給与が少ないからだ。

と思い、

給与のいい会社に転職しようと考える。

転職をするには、今の自分にはスキルが足りない。

そこで、技術の研修プログラムに申し込んだ。

しかし、実際に受けてみると覚えることの多さに圧倒され、

現実味がない。

なぜなら、短期間でどうにかしようと考えていたからだ。

結局、

仕事と並行してスキルを会得することは無理だと判断する。

仲間A Lv11
仲間A Lv11

同時進行は大変だもんね。

挫折する原因は、予定を詰め込みすぎたり、期間が短く計算するからだ。

もう少し期間に余裕がある計画だったら、小さな失敗でやってきた努力が

水の泡になることはなかった。

タケチ
タケチ

研修プログラムで一回で覚えようとしなければ、

お金はその分損するかもしれないけど、

最終的にはスキルを会得し、転職できたかもしれない。

余裕を見越して、悩みの負荷を下げるのが欠乏の対策になる

おせっかいがやりたいことを助ける

やりたいことがあるのであれば、定期連絡が欠かせない。

常にその行動が目に見えるように

張り紙をするか、

スマホのアラームで定期的に通知するようにした方がいい

お金を貯めたいと思っているときに、忙しい日々を過ごしていると

どうしても、貯金ができなくなっている。

原因としては、忙しすぎる物事に集中しすぎていて

貯金する思考が頭の中から抜けているせいだ。

まとめ

欠乏とは、忙しいという思考のせいで

時間がないと感じてしまうという事。

欠乏は集中力を生むが、他のことは常にほっとかれる。

つまり、「重要だけど緊急性がないもの」は

自分が忙しいと思っている限り、予定を先送りするようになる。

そして、気づいた時には緊急性のモノへと変わる。

このループのせいで、時間や貯金を貯めることができない。

欠乏の対策は常に必須だ。

欠乏の対策は2つ紹介したとおり、

1つ目は、

やる気だけではどうにでもならないこと。

計画は詰め込みすぎないことと、学習期間には余裕を持たる。

計画に余裕がなければ、些細なことでも後の行動に支障が出て

予定を組み直さなければならなくなるからだ。

2つ目は

やりたいことへの定期連絡だ。

忙しい思考に入った時、やりたいことは蚊帳の外にされる。

まさに「重要だけど緊急性がないもの」はほったらかしになる。

定期連絡をすることによって、忘れる前に思い出せてくれる

本書の目次

序章
欠乏は人の心を占拠する
元祖欠乏の科学
招待状

第1部 欠乏のマインドセット
第1章 集中のトンネリング
持てるものを最大限に活用
集中ボーナス
トンネリング
無視のプロセス
トンネリング税

第2章 処理能力への負荷
ここは騒がしい
認知能力
実行制御力
収穫
その他の欠乏
欠乏と心配ごと
処理能力への負荷が意味すること

第2章 欠乏が欠乏を生む
第3章 荷づくりとスラック
トレードオフ思考
スラック
貧しいミツバチと裕福なドロバチ
スラックで何を買うか
失敗する余地
欠乏とスラック

第4章 専門知識
欠乏の影響
知覚について少し
ほんとうのところ、いくらかかるのか?
解釈
機会費用

第5章 借金と近視眼
トンネリングと借金
《ファミリー・フュード》
将来を無視する
計画できない

第6章 欠乏の罠
ジャグリング
脱出
問題の根
ショック
ごちそうと飢餓
異なる種類の欠乏の罠
希望の兆し

第7章 貧困
みんな見て見ぬふりの問題
みんな見て見ぬふりの問題と向き合う
子育て
いろいろな意味での貧しさ
希望の兆し

第3部 欠乏に合わせた設計
第8章 貧困者の生活改善
貧困者の行動
効果のないインセンティブ
処理能力は高くつく
処理能力は生み出せる
根絶の難しい問題

第9章 組織における欠乏への対処
スラックはつねに軽んじられる
スラックと無駄
マーズ・オービター
火消しの罠
本当に乏しい資源に対処する
<紅花>
ビジネスにおける荷づくり

第10章 日常生活の欠乏
トンネルの中には何が?
ほったらかし
心がけ
連結と決定のタイミング
処理能力を効率よく使う
処理能力は変動する
思わぬ障害
豊かさの問題
スラックの必要性

結論
豊かさ

いつも「時間がない」あなたに 早川書房

他に面白かったところ
・処理の力の負荷が意味すること
・トレードオフ思考
・借金と近視眼=将来を無視する

など、紹介できなかったことがまだまだあります

続きはぜひ本書でお読みください。

最後まで読んでいただき、ありがとうございました。

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