【要約・書評】文明が不幸をもたらす

書籍

著者 クリストファー・ライアン
   鍛原多惠子 訳

河出書房新社

タケチ
タケチ

どうもタケチです。

今日は紹介する本は

文明が不幸をもたらす

著者の経歴
セイブルック大学で心理学の博士号を取得
さまざまな分野の注目の人物と対談を行うポッドキャストを主宰している。

以前ブログで紹介した、

スティーブン・ピンカーの「21世紀の啓蒙」や

マッド・リドレーの「繁栄」

では、世界は決して、暗黒に向かってなどいなく昨日の世界よりも良くなっていると説いている。

が本書では逆だ。

本書のこう始まる

恩知らずと呼べばいい、歯に銀の詰め物、
冷蔵庫にクラフトビール、ポケットに大量の音楽という私だ。
クルーズコントロール、パワステ、万が一に備えてエアバッグも装備した日本車を愛車にしている。
ドイツ製のメガネは、カルフォルニアの強烈な太陽光に当たるとサングラスに早変わりする。
この原稿を買いているコンピュータは、
いずれ書店に並ぶこの本より薄くて軽い。
緊急手術のおかげで危うく命拾いした友人にも会える。―(略)
文明がもたらす恩恵に感謝すべき理由は多々ある。

文明が不幸をもたらす クリストファー・ライアン

世界は便利になっている。

これは否定することはできないし、これからも便利になっていくだろう

車の自動運転とか…いろいろ。

ぱっとはすぐに思いつかないもんだな。

しかし、どうだろう。

便利だけど、僕たちは幸せになっているのだろうか?

農耕以前の狩猟採集していた時ほど、人は働き・お金の概念が現れ、よく悩み、人はいつまでも老後が気になり不安だ。

これは便利になった代償だ。

本書の言いたいことは一言でいうと「その代償は不当なものだ」と思っている。

それでは、書評をしていきましょう♪

要点

  1. 農耕以前の人類は、現代以上に悩みは少なく幸せだ
  2. 昔よりも寿命が延びたが、それは長く苦しむ時間が増えたからだ。
  3. 便利になった代償は不当だ。農耕以前は糖尿病も虫歯もあらゆるウイルスも問題にはならなかった。
  4. 現代の人類の進化に体はついていけない。

現代人の悩みと病気

餓死することの少ない世界、食べ物が欲しければコンビニへ。

病気になったら抗生物質。

旅行に行きたいのなら、車か航空機

人の道徳は、許容範囲を広げ女性の人権・同性愛を許容できるようになった。

これは文明の進歩だ。

しかし、別の問題も発生することがある。

現在ではワクチンのある感染症の大半は、人類が動物を家畜化して一緒に暮らし始め、家畜から病原体がうつるようになるまで一度も問題にならなかった。

文明が不幸をもたらす クリストファー・ライアン

今騒がれている、コロナも動物が何かしらかかわっていると言われている。

航空機もそうだ。

人に旅を与え、昔では考えられないほど遠くまで運んでくれる。

しかし、その反面はどうだ。

病気を世界に広める手助けをし、人と爆弾を乗せ爆撃機としてもつかわれるようになった。

用途が変われば、こうも変わるということだ。

延命治療という暴力

人の人生は長くなった。

長生きするリスクのことを考えなければならない

実にバカらしい言葉だが、この問題は現代では重要だ。

なぜなら、お金が必要になってくるからだ。

そして、人生が長くなることによって、身体にガタが出始める。

それはどんなに規則正しい生活をしていても、避けることはできない。

病気になったらもちろん誰かが面倒を見なければいけない。

どんなに重症でひどい痛みを伴っていても

今の日本では、楽に絶命させることはできない。

ならば、管につながれるか、薬に頼り延命治療しかない。

しかし、延命治療とは自滅の道かもしれない

人生の終わりに付け加えられる数年は、たいていの場合は健康でも活動的でもない。

つまり、正常に機能しないと予測される年数が増えるだけだ。

これは、寿命が延びたのではなく、病気から死ぬまでの過程をスローモーションにしただけなのだ。

できることとできないこと

どんな選択をするにしても、
それは種としての私たちが本来持つ特有の性質の範囲内でなくてはならない。
人類は明らかに様々な行動をとることができるが、
そのすべてが種としての私たちの性質と同じレベルで対応するわけではない

文明が不幸をもたらす クリストファー・ライアン

僕たちは、ファストフードを食べ、お酒を飲み、運動をしないというライフスタイルを何十年にも続けられることはできる。

しかし、

そういう生活では、いずれ肥満になり、糖尿病になり、虫歯、その他の症状に悩まされる。

何が言いたいかというと、その生活は人間の性質に合っていないということだ。

現代はあらゆるストレスにさらされ、人とのコミュニケーションは少なく精神が病んでいる人は増える一方だ。

昔は獣を恐れそのことはストレスとなっていたかもしれないが、以前に何百世代と同じことで慣れていた。

この暮らしている世界は人類がこれまで慣れ親しんできたものではない。

僕たちが心から安らげる場所がないのは、こんな世界を見た経験がないからだ。

まとめ

文明での生活は、昔では考えられないようなレベルまで進化していった。

これから先も便利になり、未来は明るいものだと思うだろう。

しかし、便利になる反面

何を対価に便利になったのか?

車は、好きな人に会いに行ける時間を徒歩では考えられないぐらいに時間の短縮につながった。

しかし、その便利さ上に近くのコンビニに行くにも車を使うという人が現れ

昔では考えられないくらいに人は歩かなくなった。

その影響で、肥満率は増え、あらゆる病気にかかるようになった。

あらゆる便利さは本当に隠れた対価と釣り合っているのだろうか?

人が長生きするのも問題がある。

人は長生きするほど、人の手が必要となる。

行動心理学でピークエンドの法則というのがある。

簡単に言うと、思い出というのは楽しかったピークと終わりに強く印象に残るということだ。

仲が良かった親との関係が、介護疲れで憎んだまま亡くなってしまうのでは悲しいことだ。

延命治療とは、治る可能性がないのにただ痛みの時間をスローモーションにしているだけに過ぎない。

人にはできることとできないことがある。

人はただ食って寝てを繰り返し、運動もせずに何十年も生活することはできる。

しかし、その影響は身体に病という形で現れる。

人類はこれまでそういった生活をするようにデザインされてきていないということだ。

本書の目次

はじめに 汝の種を熟知せよ

第Ⅰ部 オリジン・ストーリー
第1章 先史時代を語るときに私たちが話題にすること
能力と傾向について
先史時代の人類史
高貴な野蛮人、野蛮な貴人、洞窟に住むストローマン

第2章 文明とその不調和
現実の逆襲
記憶のない門をくぐり
「世界一善良な人びと」
文明化されない技法
マルサスの計算間違いとホップズのホラーショー
恐怖の機能
原始的な力

第Ⅱ部 永遠の黙示録(現代の「不断の進歩の物語」)
第3章 野蛮な野蛮人の神話(平和への宣戦布告)
霊長類学的な証拠
人類学的/考古学的な証拠

第4章 不合理な楽観主義者
「モ・ベター・ブルース」
国民の健康
思考の糧
寿命の嘘と天国の代価

第Ⅲ部 古代の鏡に映る自分(人間であること)
第5章 自然主義的誤謬の誤謬
第6章 野生児になるべく生まれた
第7章 子育ての深い闇
第8章 荒れ狂う十代
第9章 不安な大人
いい仕事だ。ものになればだけどね
お金の代価
勝っても負ける方法
人でなしの金持ち症候群
お金に酔う

第Ⅳ部 未来につながる先史時代の道
第10章 終わり良ければ全て良し
第11章 聖なるものが失われたとき
神の声が聞こえる
目を覚ませ、自己を解放し、はみ出せ
神聖な幽霊
過去に還る

おわりに ユートピアが必要である理由
ハルマゲドンの長所
全ての探求の行き着く先は

謝辞
ハルマゲドンの長所
全ての探求の行き着く先は

引用先 文明が不幸をもたらす クリストファー・ライアン

続きはぜひ本書でお読みください。

最後まで読んでいただき、ありがとうございました。

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